瞳の景色で住所特定?デジタルストーカーの手口
SNS写真の瞳に映る風景から自宅特定?
会員制交流サイト(SNS)に投稿された顔写真の瞳に映った景色を手掛かりに、アイドル活動をしている女性の住所を特定し、わいせつな行為をしたとして男が逮捕、起訴されるという事件が起きました。
SNSとは、Twitter(ツイッター)やInstagram(インスタグラム)を指しており、それらに投稿されている「画像」や「動画」を元にGoogleマップのストリートビューを使って大体の場所を把握したとされます。
さらに驚くべきは、ライブ配信を視聴しカーテンの位置や色、太陽や街灯の光のさし方などを元に、女性のマンションの部屋の位置まで特定していたとのことです。
概要は以下の通りです。
SNSに投稿された画像から住所が割り出されていました。
アイドル活動をする女性が帰宅したところを襲ったとして逮捕された男は「SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映った景色を手がかりに住所を特定した」と供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。先月1日の夜、東京・江戸川区のマンションに帰宅したアイドル活動をする20代の女性に対し、背後からタオルで口をふさいで引き倒し、体を触るわいせつな行為をしてけがをさせたなどとして、さいたま市北区の佐藤響被告(26)が8日起訴されました。
佐藤被告は女性の熱狂的なファンで、その後の調べで「SNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映る景色を手がかりに住んでいる場所を特定した」と供述していることが捜査関係者への取材でわかりました。
グーグルマップのストリートビューという機能を使って、女性の瞳に映った駅の風景と特徴が似ている駅を見つけ出し、駅で待ち伏せをしてマンションを特定したということです。
また、女性がSNSで配信した動画を見て、カーテンの位置や窓の光のさしかたなどから、女性の部屋の位置まで把握していたということです。刑事政策が専門でSNSのリスクにも詳しい首都大学東京の星周一郎教授は「スマホカメラの性能がよくなり画質も非常に精細になっているために全く想定しないかたちでプライバシー情報が流出してしまう新たなリスクが出てきた。ネットの情報からストーカー行為に発展する、いわば“デジタルストーカー”のリスクが顕在化した事件だ」と指摘しました。
その上で防犯上の注意点として「手がかりとなる情報さえあれば特殊な技能などなくても、インターネットの画像検索などの機能を組み合わせて場所を特定することもできる。SNSに画像をあげる際は、利用者はプライバシーが流出するリスクが常にあることをよく認識することが必要で、ソフトウエアの側も画質をあえて落とすオプションを設けるなど新たな対策が求められる」と話しています。引用:NHK NEWS WEB
デジタルストーカーの手口
この度の事件のように、ネットの情報からストーカー行為に発展するケースが増えています。どうやら、画像に写り込んだ物から、思いも寄らぬ個人情報が漏れているようです。
デジタルストーカー対策をしている各所から、いくつか注意喚起をされていますので改めてご紹介いたします。
全国webカウンセリング協議会
SNSを介したストーカー被害の相談を受けている「全国webカウンセリング協議会」によると、投稿した画像に写った窓の景色で自宅を特定されたり、学校内で撮った画像で通学先を割り出されたりし、見知らぬ者が押しかけてきたケースが報告されている。
国立情報学研究所
自撮りでよくやる「ピースサイン」も要注意だ。国立情報学研究所の越前功教授(情報セキュリティー)によると、写った指の指紋を画像処理し、凹凸を再現。データでスタンプを作れば「偽の指」ができ、他人が成り済まして指紋認証をパスされる恐れがある。
ネットセキュリティー会社「トレンドマイクロ」
学校のカバンや書類に書かれた名前が写っていれば、個人を特定される。背景に写った電柱や広告に書かれた住所、公園や店の名前からも、自宅や普段よく行く場所が特定される。景色は、テレビやパソコンの画面、アップで撮ることの多い乳幼児やペットのつぶらな瞳にも映る。
デジタルストーカーへの対策
以上のように、名前や住所が分かる物はもちろん、駅やビルなどの特徴的な建物などが映り込むことには注意が必要です。しかし、瞳の映り込みまで計算するのはとても大変です。
そこで、デジタルストーカーへの対策として、2点ご提案いたします。
①SNSの公開範囲設定
Facebook(フェイスブック)などのSNSでは、自分の投稿をどこまでの人が見られるかを設定することができます。例えば、自分の「友達まで」や「友達の友達まで」などです。
情報を不特定多数に発信することができるのがSNSの良さではありますが、場合によっては情報の閲覧制限も必要だと考えます。
②画質を下げる
SNSへの画像や動画の投稿は、スマホやアイフォンなどの携帯電話での撮影が中心だと思います。ここ最近のスマホ等のカメラは高画質の撮影が可能です。
そのため、画像から情報を解析されないように、画質を下げたり、ぼかしを入れたりなどの対策もご検討ください。